(1)順調な運営の時も常に資金の事を考える
事業を行ううえで資金繰りに関して悩むのは当然のことであり、多くの経営者にとって避けては通れない道です。
たとえ事業が順調であってもそれは変わらず、むしろ事業を拡張していくにあたり悩ましいケースが多くなってきます。
何も考えずに次々と展開していくと、表面的には順調でも実は財務は火の車という状態になりかねません。
そのような状況において、軌道に乗っていた中軸的な事業に陰りが見えると、一気に財政破たんに追い込まれてしまうことがよくあります。
したがって、経営がどのような状態にあるときでも、常に資金のことを考えておく必要があるのです。
とはいえ、それほど難しい話ではなく、恒常的に十分な自己資金を確保するように努めるのが基本となります。
もし追加で借入をするとしても、自己資金が多いほうが審査を通過しやすくなります。
そういう意味では、資金が枯渇する兆候が見えるより早い段階で申し込んでおくのが得策です。
起業しても当面は赤字が続くと予想されるなら、起業直後が最も借りやすい時期ということもありえます。
また、他の企業との取引においては、できるだけ早く売掛金を回収することもポイントになります。
売掛金が発生した時点で、自社の売上として計上されていますが、実際にはまだお金を入手できていない状態です。
すなわち、資金繰りであてにできる範ちゅうにはまだ含まれていません。
そのような状態を短くして、手元に資金を揃えることを重視する必要があります。
しかし実際には、経営状態が芳しくない企業も多いため、すぐに回収できないケースも珍しくありません。
そこで役に立つのがファクタリングという仕組みです。
(2)ファクタリングとは…
いろいろな種類がありますが、一般的な企業では最もシンプルな一括で実施するタイプがよく用いられています。
具体的には、ファクタリング会社が自社の売掛金を一括で買ってくれるというものです。
これによって取引先の企業から回収するのを待たなくても資金を得られるようになります。
決済を合理的に行えるといったメリットもありますが、やはり最も大きなメリットは資金繰りのサイクルを早められることです。
手形を使う方式の取引と違って、事務的な業務が少なくなったり印紙税を節約できたりするので、無駄の削減につながりやすいのもポイントの一つです。
これを上手く活用することで、回収の取りこぼしのリスクを減らせるので、将来を見据えた事業計画を立てやすくなります。
事業に集中しやすい状況を作り出せるため、プロジェクトを加速させる効果なども見込めるでしょう。
ただし、償還請求権が存在するタイプの契約では、取引先の企業が倒産した場合に返済の必要性が出てくるので注意しなければなりません。
また、売掛金の回収以外に着目する点として経費の節約が挙げられます。
健全な資金繰りを実現したいのであれば、支出を抑えることも重要になってくるからです。
まずはカットできる部分とそうでない部分を見極めなければなりません。
人件費は削減するのが最も難しい経費であり、労働組合のある企業では特にハードルが高いです。
そのため、日常的に発生する電気代などの固定費からチェックしていきましょう。
交通費や交際費などもカットしやすい経費であるため、積極的に節約の方法を検討する価値があります。
また、人件費に関しても残業代のカットは行いやすい状況になっています。
働き方改革が進んでいるので、残業時間に規制を設けることで実現しやすくなります。
ただし、サービス残業や従業員の過剰なストレスを生じさせないように気を配ることが大切です。
(3)融資に頼らない資金繰りの体質を整える
大幅に経費をカットしたいのであれば、オフィスを移すことも視野に入れると良いでしょう。
テレワークを主体にして、オフィスを縮小する企業も見受けられます。
その他にもいろいろな方法で支出を抑えられるので、増やすことばかり考えずに節約も行っていきましょう。
そのような取り組みによっても、資金が底をつきそうであれば、やはり融資を検討するという発想になりやすいです。
しかし、融資を受けるのが当たり前になってしまうと、いざ断られたときに倒産することになってしまいます。
まさに個人の借金ぐせと同じであり、マイナスの状態が基本になってしまうと、泥沼にはまっていくことになるでしょう。
そのため、できるだけ融資に頼らない資金繰りの体質を作りあげることがポイントです。
資金計画に安易に融資を組み入れるのはやめて、他の方法で調達することを検討する必要があります。
たとえば、過剰な在庫を抱えているなら、それを買い取ってくれる企業がないか再確認してみましょう。
売掛金を回収する際の要件を適切なものに改善したりするなど、たいていの場合はいろいろとアプローチの手段は残されています。
それらをすべてリストアップして実現の可能性を検討してみましょう。
融資の申し込みは、それでも資金繰りが苦しい場合の最終手段として残しておくのが理想です。
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